仏教の物質論

RE-CEREBRO:哲学:仏教

オザワアキヒコ

仏教における物質論は、古代インド哲学の物質観を基盤としつつ、仏教独自の解釈を加えたものです。その中心概念である「法(ダルマ)」と「極微(パラマーヌ)」は、世界の構成要素を説明するために用いられました。

七十五法と色法
仏教、特に説一切有部では、世界を構成する要素を「法」と呼び、これを75種類に分類しました。この「七十五法」の中で、物質的な要素を指すのが「色法」です。色法は、眼、耳、鼻、舌、身の五感で捉えられる対象と、それらの対象を構成する物質的要素を含みます。

極微
色法を構成する最小単位として考えられたのが「極微」です。極微は、分割不可能な究極の物質的要素であり、それ自体は感覚で捉えることはできません。極微が集まって色法を構成し、色法が集まって我々が認識する物質世界を形成すると考えられました。

極微の性質
極微は、以下の様な性質を持つと考えられました。
分割不可能: 極微は、それ以上分割することができない最小単位です。
非感覚的: 極微自体は、人間の感覚器官では捉えることができません。
集合して色法を構成: 多数の極微が集まることで、色法という物質的な現象が生じます。
刹那滅: 極微は、生成と消滅を繰り返す存在であり、常に変化し続けています。

仏教における物質論の特徴
仏教の物質論は、単なる物質の構成要素の説明に留まらず、人間の認識や心の働きとの関連性を重視する点が特徴です。例えば、極微の集合である色法は、人間の感覚器官との接触によって認識され、その認識は心の働きと密接に関わると考えられました。
また、極微の刹那滅という性質は、仏教の無常の教えと深く結びついています。物質世界は、極微の絶え間ない変化によって常に移り変わっており、固定的な実体は存在しないという考え方です。
仏教の物質論は、古代インドの科学的知識を基盤としつつ、仏教独自の哲学的な解釈を加えたものです。その中心概念である法と極微は、世界の構成要素を説明すると同時に、人間の認識や心の働き、そして無常の教えと深く関わっています。

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