アビダルマ仏教の科学的世界観

RE-CEREBRO:哲学:仏教

オザワアキヒコ

アビダルマ仏教の科学的世界観は、仏教の教義を詳細に分析し、体系化したアビダルマ(阿毘達磨)の思想に基づいて、宇宙と人間の存在を捉えようとするものです。その特徴をまとめると、以下のようになります。

1. 要素還元主義的な世界観
• アビダルマ仏教では、宇宙と人間の存在を、究極的な構成要素である「法(ダルマ)」の集合として捉えます。
• 法は、物質的な要素(色法)、精神的な要素(心法)、それらに関連する要素(心所法)、そして時間や空間などの概念的な要素(不相応行法)に分類されます。
• これらの法は、常に生滅変化を繰り返しており、固定的な実体を持つものは存在しないと考えます。

2. 因果律に基づく世界観
• アビダルマ仏教では、すべての現象は因果関係によって生起すると考えます。
• 「縁起」の思想に基づき、ある現象が生じるためには、複数の原因(因)と条件(縁)が揃う必要があり、その結果として次の現象が生じます。
• この因果の連鎖は、過去、現在、未来へと続いており、私たちの経験する世界は、因果律によって織りなされた複雑なネットワークであると捉えます。

3. 分析的・客観的な世界観
• アビダルマ仏教は、瞑想を通じて得られた洞察を、論理的な分析と分類によって体系化しました。
• 主観的な解釈を排し、客観的な事実に基づいた世界観を構築しようとする姿勢は、現代科学の考え方と共通する部分があります。
• ただし、アビダルマ仏教における「客観性」は、瞑想による内的な観察を通じて得られたものであり、現代科学の実験や観測とは異なる方法論に基づいています。

4. 現代科学との比較
• アビダルマ仏教の要素還元主義的な考え方は、現代物理学の素粒子論と類似する点があります。
• また、因果律に基づく世界観は、現代科学の因果関係の探求と共通する部分があります。
• しかし、アビダルマ仏教は、物質的な要素だけでなく、精神的な要素も包括的に扱っており、現代科学とは異なる独自の視点を持っています。

補足
• アビダルマ仏教は、仏教の教義を詳細に分析し、体系化したものであり、その内容は多岐にわたります。
• 上記は、アビダルマ仏教の科学的世界観の主な特徴をまとめたものであり、その全てを網羅しているわけではありません。
• より深く理解するためには、アビダルマ仏教の原典や関連書籍を参照することをおすすめします。

参考資料
• 仏教は宇宙をどう見たか: アビダルマ仏教の科学的世界観 (DOJIN文庫) | 佐々木 閑

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